安価な耐震改修工法講習会等に関する技術的なご質問回答
重要なご質問及び回答は各年度から抜粋し、『木造住宅低コスト耐震補強の手引き』の第5章に載せています。
平成30年3月11日(日)に開催された『安価な耐震改修工法講習会』の受講者の方より提出されたご質問について、以下のとおり回答をいたします。
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工法に関する質問等
■減災協工法について
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Q.
かさ上げルールについて、P27のかさ上げルールではかさ上げ材を勝ちにし、間柱材が負けになっています。P35のA-134では、間柱勝ち、かさ上げ材負けになっていますが、どちらを正にすれば良いですか。それとも両方正と考えてよろしいですか。
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A.
大きな影響はないですが、間柱勝ちとして設計してください。
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Q.
大壁入隅で対象壁負けの補強の場合、両側とも壁負けでも同じ耐力でよろしいですか。
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A.
大壁入隅で対象壁負けの場合、片側のみで試験をしていますが、圧縮側の影響で対象壁勝ちに対して α=0.2程度低下する傾向が確認できています。試験を行っていないため、引張側でも同様の傾向が生じると考え更に α=0.2低下するものとして計算してください。
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Q.
合板補強壁(土壁工法)について、木下地を使うものすべてについて、勝ち、負けの仕様を追加して評価してほしい。現状は上下あきとしなくても上下あきとして評価せざるを得ないため、過剰設計(安全側?) となってしまっている。これは、安価な改修設計に逆行するものと思われる。
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A.
大壁の木下地を用いる入隅仕様については可能な範囲で対応していきたいと思います。
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Q.
押入を合板補強すると、大壁の場合どうしても勝ち、負けができる。
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A.
押入の入隅対応も可能な範囲で対応していきたいと思います。
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Q.
土壁のある時のアルミアングル仕様は、筋かいの併用ができないため、使いにくい面がある。
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A.
筋かいとの併用は、可能な場合のみ取り扱ってください。
■その他
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Q.
スラブコンクリートや、増し基礎など耐震改修における基礎工事について事例など紹介してください。
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A.
今後の検討課題とさせていただきます。
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Q.
直下率の資料が追加されたが梁上低減係数は必須検討とするのか。P305の回答では、「参考として記載した」とされている。L=1860mmで0.86 は影響が大きい。下階の梁の大きさによる部分が大きいので一律に低減するのはどうかと思う。また、既存筋かいや土壁の低減も必要なのか。
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A.
必須ではありません。設計者の判断で必要に応じて、一律ではなく個々の耐力要素ごとに配置位置による低減係数を設定してください。
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Q.
課題補強丸谷案の内で天井水平面構造用合板張りとありますが、その仕様はどのような方法ですか。また、どれだけの耐力を伝えることが出来るのかを知りたいです。また、金物はどんなものを使用すればいいですか。(構造用合板を使用すれば力を伝えることが出来ることは解りますが、木部の仕口に影響はないか不安が残って実施をためらっています。)
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A.
30×40の受け材を枠組みしてN75@150で梁に留め付け、そこに下から構造用合板9mmをN50@150で留め付け、A-111以上の耐力を確保します。床倍率が与えられている仕様は床倍率×2kN/mの耐力が期待できます。その他、壁耐力壁の仕様も縦横比(1:3以下)に注意して用いることが出来ます。各仕様に合せて又は伝達力から補強床外周部の梁―梁接合部の引き抜き力を算出して、柱接合部金物等の水平使いとして選定して下さい。